11.18.2015

夜のうさぎたち。


1ヶ月以上前の話です。
スロバキアの首都ブラチスラヴァで、10月11日、一夜かぎりの野外アート展示、"Bierá Noc"展が行われました。「白い夜」という意味です。この企画は世界のあちこちの都市で開かれているようで、パリや東京でも開催されているはずです。
夜の街のあちこちで、現代アート作品を観ることができます。ギャラリーなどの展示会場も一晩中オープンしていました。当日はあいにくの雨降りでしたが、夜になるとほとんど止み、暗い夜の街中をたくさんの人々が歩き回り、作品を楽しんでいました。

写真は、旧市街のまんなかの中央広場風景です。


 広場にはこんな巨大な白ウサギのオブジェが・・・。空気をおくって膨らませたものを、中から灯がぼんやり照らしています。材料は気球の布なのでしょうか、そのやわらかさも白ウサギにぴったりです。そして、雨上がりの濡れた石畳に、白い姿がぼんやり映って、とても幻想的でした。

これは、オーストラリアの作家、Amanda Parer の作品です。この作家は世界のあちこちで、巨大なウサギを野外展示するインスタレーションを行っています。

わたしは、どちらかというと現代アートは苦手で、いつもだまされたような気持ちになってしまうのですが、これには素直にノックアウトされてしまいました。
あの中央広場が、夜の闇と巨大な白ウサギのおかげで、別世界になったのです。それも、しあわせな気持ちになるような・・。そして、たくさんの人たちが、この空間を楽しんでいます。その人たちと、いっしょにこの広場にいられてよかったなと思いました。

だから・・・・・・
よけいに、11月13日の金曜日にパリをおそったテロが許せません。
とつぜん、この広場で自爆テロが起きたら・・・・。想像してみてください。
しかし、武力での報復など何の役にも立たちません。それどころか、これがきっかけで、恐怖や憎しみが、ますます増殖します。死者も難民も増えます。そして、それらの多くが普通の人たち、子どもたちであること。こんなことが解決につながるわけがないことを、一番良くわかっているのが、各国の首脳でしょう。何のために突き進むのでしょうか。
もう武力行使することを止めてください。空爆をやめてください。自分の欲望のために人の命をもてあそぶのを止めてください。

これまでに武力攻撃やテロで亡くなった人々のご冥福を祈ります。
そして、いつまでも、人々が、このような展覧会を楽しむことができる社会であってほしいと、切に祈ります。